稲刈りが終わったからと言って、米作りが終わったわけではありません。電気がなかった頃の米作りの苦労をほんの少しでも実感するため、5年生では収穫した稲の一部をはさ掛けして乾燥させ、脱穀・もみすりを手作業で経験します。今回は脱穀に挑みました。

 みんな楽しそうですね。初めは意気揚々と手だけでもみを外していましたが、いつの間にか…

 じょうぎ・下じき・ハサミなど、身近にある道具を使い出しました。これぞ生きる力。しかしそれでも、約40人が1時間かけて脱穀できた量は、用意しておいた稲の束の20分の1にもなりませんでした。「どんな道具があるといい?」「いっぺんに10本ぐらいの稲を脱穀できるものがほしいです!」「そうかそうか。」―。

 

 ということで三日後の学習では、それが可能な道具を使いました。まずは歴史でおなじみ「千歯こき」。江戸の元禄、徳川綱吉の時代に発明されたそうです。

 そして明治維新を経て時代が大正となり、急速に普及したのが「足踏み脱穀機」。

 昔懐かしい足踏みミシンと同じように足で踏んで胴体を回転させ、U字に付いている金属でもみを弾き飛ばします。踏むタイミングを間違えると、反対方向に回ってしまいます。また、うまく回っても、稲束をしっかり握らなかったり、欲張って大量の稲を脱穀させようとしたりすると、回転の勢いで稲束ごと持っていかれます。最初は恐々やっていた子供たちでしたが、最後は我先にしようとする子が続出しました。

 千歯こきに足踏み脱穀機。ご飯を食べるとき、ちょっとでも思い出してくれたらうれしいです。