「鞍谷の7ふしぎ」、いよいよ『時水』に焦点を当てます。時水は大平山の中腹標高320メートルの地点にあり、縦80センチメートル、横50センチメートル、奥行き1.7メートルの洞窟の奥から湧き出る間歇冷泉です。でも、湧き水自体は特に珍しくないのに、なぜ時水が7ふしぎの1つになっているのでしょうか。それは、古来より「時水現象」が人々を驚かせてきたからです。
 時水現象とは、湧く水の量が予告もなしに突如として増水を始め、それが50分前後でまた元の水量に減水する自然現象です。毎分10~30リットルのちょろちょろ水が、5~8分で毎分200~500リットルもの水量となり、過去の記録では毎分800リットルもの大湧水になったこともあるそうです。しかも、現象が起きる時間帯は決まっておらず、1時間で増え始めるときもあれば、8時間待っても起きないこともあるのだとか。この不定期不定量が、時水の7ふしぎたるゆえんです。
 ではなぜ不定期不定量なのか。それを子供たちは時水を訪問して観察する前に、班ごとで話し合い、自分たちの仮説を立てて発表しました。

 子供たちの発表の後は、時水の大家・川上さんに時水現象を解明していただきました。実のところ、時水現象の原因は未だに解明されていないのだそうですが、有力視されているのが、「複雑機構によるサイフォンの原理説」。なんとも難しい物理現象を、重い道具をご持参してくださり、説明してくださいました。

 

 5年生は学年行事で時水に行く予定ですが、その山道は、ほとんど川上さんが道なき道を切り拓いて手作業で作られたものだそうです。時水周辺にも、大勢の人が腰を下ろせる場所を設置されました。

 そんなすごい川上さん、最後にはなんと手品までご披露してくださいました。みんな大喜び。授業が終わると多くの子が川上さんの周りに集まり、中には握手を求める子もいました。川上さん、本当にありがとうございました。